経費にできる?商売繁盛!十日戎えべっさんでの支払い!個人事業主の経理!

こんにちは!
森文子(もりふみこ)です。

今日のテーマは、
えべっさんに関する個人事業主の経理!
どうぞ記帳をする際のご参考になさってください。

この記事の注意点!
ここでは一般的な税法の解説をしています。
基本的には関与税理士の指示に従って処理されてください。

税理士先生を頼りにされていない方で、
どうしても経理処理の判断に迷うときは、
ひとりで悩まずに管轄税務署へ問い合わせることで
問題を解決できる可能性もあります。

今回の記事は個人事業主の経理について書いています。
法人は処理方法が違います。
お間違いのないようにお願いいたします。



年に一度の十日戎(とおかえびす)は、
事業の成功をお祈りする大イベントです。
えびす様は商売の神様、
関西では「えべっさん」と親しみを込めて呼んでいます。

この特別な日には、事業をされている方なら
毎年欠かさずお参りに行かれる方が多いことでしょう。

神社で商売繁盛や安全祈願などの祈祷を受けたり、
縁起物やお守りを買ったり、おみくじを引いたり、
お賽銭を投げ入れたり。

ところでこれって
全て個人事業主の「必要経費」になるのでしょうか?

事業に関するものは全て必要経費

そもそも必要経費とは?

個人事業主の必要経費とは、
「収入を得るために要した費用のこと」

業務上必要な費用だと証明できれば、
問題なく必要経費で処理できます。

所得税法 第37条(必要経費)

その年分の不動産所得の金額、事業所得の金額又は雑所得の金額(事業所得の金額及び雑所得の金額のうち山林の伐採又は譲渡に係るもの並びに雑所得の金額のうち第三十五条第三項(公的年金等の定義)に規定する公的年金等に係るものを除く。)の計算上必要経費に算入すべき金額は、別段の定めがあるものを除き、これらの所得の総収入金額に係る売上原価その他当該総収入金額を得るため直接に要した費用の額及びその年における販売費、一般管理費その他これらの所得を生ずべき業務について生じた費用(償却費以外の費用でその年において債務の確定しないものを除く。)の額とする。

見返りを求めない支出は寄付である

お賽銭は「事業主貸」

個人事業主がお賽銭を支出したときは、
「事業主貸」で処理します。
原則として必要経費になりません。

神社へのお賽銭は寄付なのです。
見返りを求めず投げ入れるお賽銭は、
神社にお金をあげたことと同じだよ~
という考え方です。



個人が支払う寄付金は、
国や地方公共団体、特定の法人への寄付についてのみ、
所得控除を受けることで税負担を抑えることができます。

▼ご参考までに、国税庁HP タックスアンサー
「No.1150 一定の寄附金を支払ったとき(寄附金控除) 」

見返りがあるものは必要経費で落とせる

事業に関する費用であることが前提です。

祈祷料

えべっさんでは、
戎様に商売繁盛の祈りをささげる儀式があります。

社殿に入り、祝詞奏上や鈴祓いをしてもらう
という「サービスの見返り」があるため、
祈祷料は寄付ではなく経費という考え方です。

縁起物やお守り

こちらは簡単「モノの見返り」ですね。
商品を受け取った対価として支払うものは経費
という考え方です。

神社までの交通費

問題なく必要経費として計上できます。

最終的には妥当性が問われる

原則があるなら例外もある?
そう思った人は鋭い!

最終的には
社会通念上妥当かどうかで判断されます。



例えば、
毎年きまって社員全員で参拝するというのが慣習で、
その費用を全て会社が出している、となると、
お賽銭も含めすべての支払いを
社内行事にかかる経費(福利厚生費)
と考えることもできます。

このとき、
社長だけ、一部の社員だけ、というのはダメ。
福利厚生費は全員が平等の扱いでないと認められません。

ちなみに、
従業員がおらず、ひとりで事業をしているときは、
そもそも福利厚生費という概念はありません。


また、
その金額も判断基準のひとつになります。

例えば、
投げ入れたお賽銭が1人あたり100万円だったら?

これは事業の規模にもよると思いますが、
一般的な金額ではないですね。

お賽銭といえば、
ご縁がありますようにとの願いで5円玉、
福よ来いの語呂合わせで29,451円の小切手
などが常識の範囲内と考えられます。

金額が多すぎると、事業に関する費用ではなく、
個人的な支出とみなされる可能性があります。



ここに掲げたことだけに限りませんが、
何事も「~すぎる」というのは問題アリです。

法令等では「社会通念上」という言葉をよく目にします。
ようするに、常識的に考えてどうなのかな~?
ということを念頭に判断することが大切です。

領収証はなくてもいい

神社での購入品、電車、バスについては、
領収証が手に入らないこともあります。

そのようなときは、
出金伝票やメモ(チラシの裏でもなんでもいい)に
下記5つの事項を記しておけば大丈夫です。

  • 日付
  • 支払先の名称
  • 支出の内容
  • 金額
  • 勘定科目

勘定科目はなんでもいい

十日戎での必要経費は、
実務的には「雑費」や「消耗品費」で
まとめて処理することが多いです。

国税庁パンフレットには、
「一般的な必要経費の一覧表」がありますが、
これの区分は目安程度に考えておけばいいです。

▼参考までに、国税庁パンフレット
帳簿の記帳のしかた(事業所得者用)(PDF/1,932KB)



必要経費の勘定科目は、
正直なんでも構わないです。

旅費交通費が雑費に入ったところで、
税金計算に支障がないからです。

大きな金額での科目違いだと
決算書的にはNGなのでしょうが、
十日戎での支払いは少額です。

事業に大きな影響を与えない支出ですし、
神経質にならなくても大丈夫。

必要経費なのか?そうでないか?の
判断さえ間違っていなければ、
勘定科目はなんだっていいです。

※法人は、申告書作成で手間取らないように、
会計処理時点で適切な科目にしておいたほうが後々ラクです。

消費税の取り扱い

神社ならではのものは課税対象外

たとえば、
祈祷料やお守り代、お札代など。

喜捨金に該当し消費税対象外です。

一般のお店でも売られているものは課税対象

たとえば、
暦やキーホルダー代、駐車場代など。

神社の収益事業に対する取引は課税対象です。

FP森文子(もりふみこ)からのメッセージ

神社やお寺さんへの支払いは、
基本的に個人の信仰に基づくものとみなされます。

個人事業主は特に、
仕事とプライベートの区別が曖昧なところがあるため、
必要経費として主張するには、それなりの根拠が必要です。

えべっさんは商売繁盛の神様。
事業をしている方ならお参りして当然かもしれません。

ですが、事業に関係なく、
えべっさんに家内安全を祈願してお参りする人も中にはいるわけですから、
その判断は慎重におこなう必要があります。

事業に関する費用というのは、
逆に言えば、事業をおこなっていなければ払う必要がなかった費用のこと。
そのように考えれば区別が容易になりませんか?

条文には個々のケースについて細かく書き記してはありません。
またその判断基準も明確ではありません。

ですから税務上は、
地域の特性や支払いに至る背景など様々な角度から総合勘案されます。

判断に迷ったときは、
社会通念上妥当な取引なのか?常識の範囲内の支出なのか?
という視点を常にもって必要経費の見極めをされてください。


必要経費の計上は漏れなく行うことが一番の節税です。
必要経費が大きくなると所得が減り税金も少なく済みます。

領収証がないからダメだわ、レシートしかないからダメだわ、
と必要経費の計上をしないのは勿体ない話ですよ。

知らないと正しい判断が下せません。知識は宝です。
今後も皆様の知識向上のお役に立てるように
記事の更新をしていきますね。


最後に一言。
くれぐれも節税という名の無駄使いはしないように!