抜群の節税効果!「iDeCo:イデコ(個人型確定拠出年金)」

「節税法」
それは適法に税負担を減少させる方法です。

節税法は、本当に多岐に渡り様々なものがあります。全ての方法を実行すると、かなりの節税になることは間違いありません。ただ、その方法を知らない人は、多いのです。
ここでは、「iDeCo:イデコ(個人型確定拠出年金)」についてお伝えいたします。

▼目次

● iDeCo(個人型確定拠出年金)ってどんな制度?
● iDeCo(個人型確定拠出年金)のメリット
● iDeCo(個人型確定拠出年金)のデメリット
● iDeCo(個人型確定拠出年金)の始めかた

iDeCo(個人型確定拠出年金)ってどんな制度?

制度の概要

iDeCo(個人型確定拠出年金)制度は、個人が、高齢期の生活をより豊かにするために、毎月一定額を積み立てておくための年金制度。国民年金や厚生年金など、強制的に加入する公的年金とは別に、自分の意思で加入して、自分の意思で積み立てたお金を、自分の意思で運用して、自分で「じぶん年金」を作るためのものです。iDeCoにお金を積み立てる行為を、掛け金を拠出する、と言います。

掛け金を拠出できる額は、年金の被保険者区分により違いますが、月額が最低5,000円から最高68,000円の範囲で、1,000円単位で自由に設定できます。年に1回、減額や増額が可能です。基本的に掛け金の拠出は毎月行うこととなっていますが、平成30年1月より、年に1回以上で任意にまとめた月にまとめて拠出することが可能となりました。前納、追納はできません。

この制度は、確定拠出年金法に基づき、国民基金年金連合会が実施しています。

▼iDeCo公式サイト
https://www.ideco-koushiki.jp/

iDeCoに加入できる人は?

日本在住の20歳以上60歳未満であれば、ほとんどの人が加入できます。

iDeCoに加入できない人は?

日本在住の20歳以上60歳未満であっても、以下に該当する人はiDeCoに加入できません。

農業者年金に加入している人
国民年金保険料を払っていない人(免除・猶予を含む)
企業型確定拠出年金加入者のうち、iDeCoへの加入が認められていない企業へお勤めの人

iDeCoで掛け金を拠出できる額の上限は?

iDeCoで掛け金を拠出できる額の上限は、年金の被保険者区分により違います。

第1号被保険者(自営業者等)
→月額68,000円
※付加年金保険料や、国民年金基金掛金と合わせて月額68,000円が限度です。

第2号被保険者(厚生年金保険の被保険者)
(1)企業が、企業型確定拠出年金のみに加入している→月額20,000円
(2)企業が、確定給付型年金に加入している→月額12,000円
(3)公務員や私学共済制度の加入者である→月額12,000円
(4)それ以外の人→月額23,000円

第3号被保険者(専業主婦(夫))
→月額23,000円

iDeCoに拠出したお金の行方は?

iDeCoに拠出したお金は、自分で運用指図を行います。運用商品は、預貯金、保険商品、投資信託等。どの商品にどれだけのお金を掛けていくのか、どの商品に預け替えするのかを全て自分で決めます。銀行や証券会社など、iDeCoが利用できる金融機関(運営管理機関)はたくさんありますが、選べる金融機関は1社だけ。それぞれ商品ラインアップは違いますから、各機関のホームページなどで取り扱い商品を確認してみましょう。

iDeCoに拠出したお金をどうやって受け取る?

iDeCoに拠出したお金を受け取る方法は4つ。受取請求の手続きを、70歳に達する日の前日(誕生日の2日前)までに行う必要があります。請求することなく70歳に達してしまったときは、積み立てられた資産は自動的に現金化され「一時金」として受け取ることになります。

老齢給付金
「一時金」「年金」「一時金と年金の併用」のいずれかの方法で受け取ることができます。金融機関によっては「一時金と年金の併用」を選択できないことも。事前に確認しておきましょう。また、iDeCo加入年数により、お金を受け取るタイミングは異なります。時期が来たら、受け取り方法の確認書類が金融機関から送られてきますので、それに沿って請求手続きを行い、お金を受け取ります。

<老齢給付金を受け取るタイミング>
iDeCo加入10年以上 → 60歳に達する日以降
8年以上10年未満 → 61歳に達する日以降
6年以上8年未満 → 62歳に達する日以降
4年以上6年未満 → 63歳に達する日以降
2年以上4年未満 → 64歳に達する日以降
1か月以上2年未満 → 65歳に達する日以降

障害給付金
加入者が傷病により、国民年金法に規定する障害等級に該当する程度の障害状態となり、初診から1年6か月を経過した日(期間内に症状が固定し治療の効果が期待できない状態に至った日はその日)以降、請求することでお金を受け取ることができます。「一時金」「年金」を選択できます。

死亡一時金
加入者が死亡したときに、請求することでお金を遺族が「一時金」として受け取ることができます。

脱退一時金
下記要件に該当するときに、請求することでお金を「一時金」として受け取ることができます。

<受取要件(すべてに該当すること)>
・国民年金保険料免除者である
・障害給付金受給権者ではない
・通算拠出期間が1か月以上3年以下である
・個人別管理資産が25万円以下である
・企業型年金加入者または個人型年金加入者の資格喪失日から起算して2年を経過していない
・企業型脱退一時金の支給を受けていない

「達する日」とは?
法律では「達する日」といった表現をよくみかけますね。「達する日」と「誕生日」は、イコールではありません。「60歳に達する日」であれば、それは60歳になる誕生日の前日を指します。ややこしいですが、よく出てくる表現なので覚えておきましょう。

iDeCo(個人型確定拠出年金)のメリット

iDeCoに拠出した額は、全額所得控除

iDeCoに拠出した額は、全額所得控除の対象です。所得に対してかかる税金は、所得税と住民税がありますね。これらの税金は、収入(給与所得の人は支払総額)から必要経費(給与所得の人は給与所得控除)を差引し、そこから所得控除を差引したもの(課税所得)に、税率をかけて計算がされます。積み立てた額の全額が所得控除になるということは、拠出した額に所得税率と住民税率をかけた相当額分の税負担が軽くなるということです。

例えば、月額2万円を拠出している人は、年間の拠出額が24万円になりますね。仮に、所得税、住民税ともに10%(合わせて20%)の税率だった場合、24万円の20%である4万8千円もの税負担が軽くなる、という計算になります。所得税率や、拠出する金額は、その人により違いますが、最大で448,800円もの税負担を軽くすることができる制度です。

銀行の定期預金にいくらお金を積み立てても税負担は減りません。同じお金を積み立てるにしても、預け先がiDeCoなら、税負担を減らすことができる。どちらがオトクか一目瞭然ですね。

iDeCoで運用して得た利益には、税金がかからない

iDeCoで運用して得た利益は全て非課税です。通常、金融商品の運用益には税金がかかります。その割合は、所得税15%+復興特別所得税0.315%+住民税5%。合わせて20.315%です。実に利益の5分の1は税金で持っていかれてしまいます。これがiDeCoなら税金ゼロ。オトクとしか言えません。

受取時も、税負担が軽い

iDeCoで運用したお金は、「一時金」「年金」「一時金と年金の併用」のいずれかの方法で受け取ることになります。いずれを選択しても各種控除があり、受取時の税負担が軽くなります。

一時金で受け取るとき
→退職所得扱いになります。うけられる控除は「退職所得控除」。

年金で受け取るとき
→公的年金等の雑所得扱いになります。うけられる控除は「公的年金等控除」。

一時金と年金の併用
→一時金は退職所得扱い、年金は公的年金等の雑所得扱いとなり、それぞれの控除をそれぞれうけることができます。

少額からはじめることができる

iDeCoは、毎月の積み立て額を最低5,000円からはじめることができます。早く開始すればするほど、受取時の税負担が減るシステムですから、まずは少額から開始して加入年数を稼ぎましょう。資金に余裕ができれば、年に1度のタイミングで増額が可能。減額・停止・再開はいつでも自由にできます。最初から気負わず、マイペースでiDeCoを利用することができるでしょう。

iDeCo(個人型確定拠出年金)のデメリット

60歳までお金を引き出せない

iDeCo最大のデメリットは、原則60歳までお金を引き出すことができないということです。途中解約も原則認められていません。iDeCoは、将来使うためのお金を貯める目的で利用しましょう。

意外と手数料がかかる

iDeCoを利用するためには、加入時・運用時・受取時などに、それぞれ手数料がかかります。金融機関(運営管理機関)に支払う手数料は、各機関より金額が違います。また、運用商品が投資信託の場合は、別途手数料(信託報酬)が必要です。

<主な手数料>
加入時・移管時
iDeCoに加入するとき、または企業型確定拠出年金からの移管するときに発生する費用です。
→事務手数料(支払先:国民年金基金連合会)2,777円
→事務手数料(支払先:運営管理機関)金額は金融機関により異なる

運用時
毎月発生する費用です。
以下3つまとめて「口座管理手数料」と言います。
→事務手数料(支払先:国民年金基金連合会)103円/月 ※掛け金を拠出していない場合は、ゼロです。
→資産管理手数料(支払先:信託銀行)64円/月
→運営管理手数料(支払先:運営管理機関)金額は金融機関により異なる

受取時
給付を受けるたびに発生する費用です。
→給付事務手数料(支払先:信託銀行)432円/1回

還付時
還付が行われるたびに発生する費用です。
法で定められた以上の拠出をしたときや、加入資格がない月に拠出したときなどが該当します。
→還付手数料(支払先:国民年金基金連合会)1,029円/1回
→還付手数料(支払先:信託銀行)432円/1回

資産が目減りする可能性がある

iDeCoで取り扱いのある金融商品には、定期預金など元本保証型のものもありますが、投資信託など元本保証型でない商品もあります。選ぶ商品によっては、大きく資産を殖やせる可能性もありますが、同時に大きく資産を目減りさせるリスクも持ち合わせています。請求目論見書を確認して、しっかり内容を把握したうえで、自分で納得して商品を選ぶようにしましょう。また、受取時期が近づいてきたら、資金を元本保証型のものに移し替えるなどして、リスク管理をするよう心がけましょう。

iDeCo(個人型確定拠出年金)の始めかた

金融機関を決めましょう

まずは、iDeCoをする口座を作らなくてはなりません。iDeCo口座は、銀行などの金融機関(運営管理機関)で開設することができます。金融機関により、各種手数料や運用商品のラインアップが違いますから、事前に確認を。普段取引のない金融機関でも口座開設の申し込み可能です。インターネットや、電話、窓口などで、資料を請求してください。掛け金は、自らが指定する口座(申し込んだ金融機関以外でも大丈夫)から引落しされます。

準備しておきましょう

申込書類が届くまでの間に、以下を揃えておきましょう。

基礎年金番号
年金手帳や、ねんきん定期便などで確認できます。

本人確認書類
運転免許証、健康保険証、住民票や印鑑証明などのコピーが必要になる場合があります。
確認書類は金融機関により異なりますから、口座開設のときに何が必要か尋ねておきましょう。

掛け金をいくらにするか決めておく
最低5,000円から始めることができます。年に1度、金額の変更が可能です。
無理のない範囲で始めましょう。

申込書類を返送しましょう

届いた資料の記載例を参考に、「加入申出書」や「個人情報同意書」に必要事項を漏れなく記載し、添付書類と合わせて、金融機関へ書類を返送しましょう。記入漏れや、書類の不備があると、手続きが遅れる場合があります。封をする前にしっかり確認しておくこと。

数日後

金融機関から「申込書類を受理しました。書類は国民年金基金連合会へ送付後、加入審査が行われます。審査は1~2か月かかります。」といったような内容のお知らせが届きます。

1~2か月後

国民年金基金連合会より、「個人型年金加入確認通知書」「個人型年金規約」「加入者・運用指図者の手引き」が封書で届きます。「個人型年金加入確認通知書」は、大切に保管しておきましょう。

また、JIS&T(日本インベスター・ソリューション・アンド・テクノロジー株式会社)からは、「口座開設のお知らせ」の封書と、「コールセンターパスワードとインターネットパスワード設定のお知らせ」の葉書が届きます。どちらも再発行できませんから、大切に保管しておきましょう。

これら、届いたパスワードや口座番号を使って、ログイン・設定が可能になります。ここでようやく運用開始。申し込みから手続完了まで、ホント長いです…

FP森文子(もりふみこ)からのメッセージ

iDeCoは、税制優遇が非常に大きい制度です。加入資格のある方は、ぜひ利用されてください。

これまで、自営業者や企業年金のない会社員しか利用できなかったiDeCo。上乗せ年金が少ない人たちですから、その分をiDeCoで準備しましょうね、という趣旨の制度でしたが、改正により2017年1月からは、企業年金のある会社員や、公務員、専業主婦など、ほとんどの国民が利用できるようになりました。なぜそのような制度改正となったのでしょうか。それは、政府が、公的年金が少ない自営業者等だけでなく、今はもう全国民に対し、将来のお金は自分で責任をもって準備しなさい、と呼びかけている表れ。

老後の生活を公的年金だけに頼らず、自分で「じぶん年金」を準備することは、今や当たり前の時代です。その資金を上手に作っていくためにも、iDeCoのような良い制度を利用しない手はありません。まだ利用されていない方は、ぜひ前向きにご検討ください。ただ、この制度は、流動性が悪いため、将来のためだからとお金をどんどんつぎ込んでいては、今の生活が難しくなってしまいます。今のキャッシュフローと将来のキャッシュフローのバランスをみて、無理のない拠出額を決めましょう。そして、できれば投資のお勉強をされて、効率よく資金を殖やしながら、しっかり老後の資産形成をしていただきたいと思います。