産休制度を理解しよう!

出産が近づくと、気になってくるのが、産休・育休のこと。産休と育休の違いは何でしょう? いつからいつまで休業が取得できるのでしょう? 休業中のお金がどうなるのかも気になるところですよね。
ここでは、産休の制度をメインにお伝えいたします。

▼目次

● 産休と育休はそれぞれ別の制度
● 産休ってどんな制度?
● 産休中のお金はどうなる?
● 産休中の過ごしかたは?

産休と育休はそれぞれ別の制度

出産・育児に伴い、取得することができる休業の制度に、「産休」と「育休」があります。続けて取得することができるので、産休と育休がごっちゃになってしまっている人も多いとは思いますが、これらは全く別の制度。産休は「労働基準法」、育休は「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」、それぞれ違った法律で定められた制度です。

 

産休ってどんな制度?

産休とは、出産をするためにするお休みのこと。女性であれば、どなたでも休業を取得することができる制度です。労働条件は問いませんから、正社員に限らず、派遣社員でもアルバイトでも大丈夫。どのような雇用形態であっても、休業を取得することができますよ。産休には、「産前休業」と「産後休業」があり、それぞれ条件が違います。

「産休業」は、任意のお休み

産前休業とは、出産前のお休みのこと。会社に「産休したい」と申し出ることで、休業を取得することができます。手続きは、会社の規定に従います。期間は、出産予定日を含め42日(多胎妊娠は98日)以内。産休の申し出をせず、出産ギリギリまで働くこともできますよ。

出産が予定日より遅れたとき
産前休業は長くなります。
※欠勤扱いにはならず産前休業扱いになります。

出産が予定日より早まったとき
産前休業は短くなります。
※余った期間を繰り越してお休みできることはありません。

「産休業」は、強制的なお休み

産後休業とは、出産日の翌日以降のお休みのこと。法律で強制的に、休業を取得することが決められています。期間は、原則56日間です。医師が就業しても差し支えないと認めた場合は、例外として産後42日を経過した後から働くこともできます。会社に申し出ることで取得できる産前休業とは違い、働きたくても働いてはいけないのが産後休業。出産により身体に受けたダメージを癒す期間です。しっかり身体を休ませ、回復に専念しましょう。

「産休」の後は「休」へ

産休の後は、条件を満たせば育休を取得することができます。産休後に続けて育休を取得したいときは、産休中に「育休を取得したい」と会社に申し出る必要があります。育休の期間は、原則子どもが1歳の誕生日を迎える前日まで。保育所等に入所できないなど特別な事由があるときは、子どもが2歳の誕生日を迎える前日まで期間を延長することができます。

↓育休については、こちらの記事もご参考になさってください。
知識の森「育休制度を理解しよう!」

産休中のお金はどうなる?

一般的に、産休中は、給料が出ないことが多いようです。会社によっては、支給がなされるところもありますが、法律上は、会社に産休中の給料について支払い義務はありません。給与計算の基本は、働いた人に賃金を払う、ですから、もらえなくても仕方がありませんね。会社から給料がでなくても、公的制度が産休中の生活を経済的にサポートしてくれます。しっかりチェックをして、貰えるお金は、手続きをして、きちんと貰っておきましょう。

子どもが産まれたら「出産育児一時金」

出産育児一時金は、健康保険に加入する人が出産したときに支給されます。支給額は、赤ちゃん1人につき420,000円(産科医療補償制度対象外は404,000円)。妊娠85日以上の早産、死産、流産、人工妊娠中絶の場合も対象です。申請方法は2種類あり、自由に選ぶことができます。

直接支払制度
出産育児一時金を、分娩機関に直接支払ってもらう方法です。退院時に、窓口で負担するお金を抑えることができます。分娩費用が一時金の額を上回るときは、差額を窓口で支払います。下回るときは、差額を自分の指定する銀行口座に振り込みしてもらえます。

産後申請
退院時に窓口で支払いを済ませ、後日、自分の指定する銀行口座に振り込みをしてもらう方法です。クレジットカードが利用できる分娩機関であれば、窓口でカード払いすることによりクレジットカードのポイントを貯めることもできますね。支払いの後に支給申請をすることになりますから、いったんは自分で分娩費用を負担しなければなりません。事前にお金を準備しておく必要があります。

会社を休んだら「出産手当金」

出産手当金は、会社の健康保険に加入する人が出産により休業したとき、産休期間の範囲内で支給されます。支給額は、給料のおよそ2/3。休業していても給料の支払いがあって、給料の額が出産手当金の額を上回るときは、出産手当金の支給はありません。下回るときは、出産手当金と給料の差額が支給されることになります。出産が予定日より遅れても、その期間についての出産手当金は支給されます。

社会保険料の

産休中は、健康保険や厚生年金保険などの社会保険料が、個人負担分・会社負担分ともに免除されます。手続きは、産休中に会社が行います。保険料の負担はなくなりますが、健康保険証は休業中も変わらず医療機関で使うことができますし、厚生年金もかけている状態を維持できますから、将来受け取る年金額にも影響がありません。

退職したらどうなる??

退職しても、条件を満たせば、出産育児一時金や出産手当金を受給することができます。

退職後の出産育児一時金
次の要件を、すべて満たしている場合に受給できます。
・退職日までに、1年以上継続して健康保険に加入している
・退職後から、6ヵ月以内の出産である
・妊娠4カ月以上の出産である
・被扶養者ではない

退職後の出産手当金
次の要件を、すべて満たしている場合に受給できます。
・退職日までに、1年以上継続して健康保険に加入している
・退職日が、出産手当金の支給期間内に入っている
・退職日当日に、出勤していない

産休中の過ごしかたは?

ママはリラックスして過ごそう

妊娠後期になり、いよいよ産休に入ることで、「ようやく休むことができる」と胸をなでおろすママも多いことでしょう。産前休業中は、比較的自由に時間が使える期間です。赤ちゃんがいるとなかなか行けないレストランや映画館などに出かけたり、趣味に没頭したり、自分のやりたいことを優先して、身体に無理のない範囲で、産前の生活を楽しんでください。ママが気分よく過ごしていると、きっとお腹の赤ちゃんも良い心地になるでしょう。もちろん毎日だらだら過ごしても大丈夫。赤ちゃんを産むための準備期間ですから、ママがストレスなく過ごすことが一番です。

家計のことも考えておこう

産前は、ひとりで集中できる時間が多く取れますから、スキルアップのための資格を取得するなどすれば、長い目でみると家計のプラスになるかもしれません。産後は、赤ちゃんのお世話で本格的に忙しくなります。やるべきことがあるならば、産前にすべて済ませておきましょう。産休に入ってすぐは、給料も手当も入らない、家計にとって厳しい期間が約2カ月半ほど続きます。今のうちからお金と向き合い、健全な家計にしておきましょう。産後は、安心して育児に専念できるようになるといいですね。